【美術刀特注講座第10回】
その他の特殊な拵について
前回は拵短刀という特殊な拵の特注について紹介しましたが、
今回はその他の特殊な拵について。一般的な打刀の拵とは異なる仕様のものですな。


■薩摩拵(薩摩柄)について■

講座の第4回にて軽く紹介していますが、ここで改めて紹介しておきます。
この柄は薩摩拵をイメージし、通常のものより長く、やや太めに作ってあります。


普通の柄(画像下、八寸〜八寸五分)と比べると明らかに長く、約一尺(約30cm)になります。
薩摩拵風にしたいときのみならず、単純に迫力ある拵にしたい場合にもオススメの柄です。

柄下地が合皮で現状3色(黒/茶/白)あるのは第4回でも紹介しましたが、
その他にこの柄の場合、「目貫は原則無し」「縁頭の金具色は(現状では)黒のみ」となっています。
また柄頭の金具が2種類(肥後型と通常の平型黒色)使える場合があるのですが、
柄下地色との組み合わせにより出来たり出来なかったりします。
(`ー´)<出来たり出来なかったりの理由は第4回で書いたのと同じです。

まぁ、とりあえず全長が伸びて迫力が増しますので、
試してみるのも面白いかと。
(`ー´)<ちょい高いけどね。この柄使った段階で最低1万円前後は確定だと思ってくれい。

柄下地茶と白について、参考画像を掲載します。

柄下地茶



柄下地白



■柄下地桜模様■


新たに黒地桜模様入りが登場しました。
薩摩柄のみで使用可能です。なお、通常の薩摩柄から更に価格が上がります。


■太刀について■

文字通り、美術刀の太刀についてです。
そもそも太刀がなんであるかについては…説明するだけで更新2回分くらい使えそうなので割愛します。
(;´ω`)<…まぁ、あとはググって頂く方向でひとつ。

基本的に太刀拵の場合、柄頭〜コジリまで一貫して同種同色の太刀金具を使うのが基本になります。
具体的には、


柄のほうがこんな感じで、


鞘先のほうがこんな感じですな。
それぞれ画像上から黒/金/銀。

美術刀の標準的な太刀は、だいたいこの3色、黒金銀のいずれかになります。
銀のみ柄頭の形状が違いますな。
太刀の場合、金具は基本的にはこの3組のいずれかにすることになります。
(`ー´)<柄をさっき書いた薩摩に、とか、実は出来ないわけではない。
(;´ω`)<まぁ、そういうのは普通の太刀が欲しい、という場合にはオススメできないな。


鍔については、上画像の太刀鍔が最もオススメです。
他の金具と図柄も揃ってますし。
しかしながら他の美術刀同様、他の鍔も選択可能です。
ただ様式上、鍔の図柄が上下逆になるんで、その点お気をつけ下さい。

それから太刀には小柄・笄両櫃の概念がないので、
鍔は小柄笄孔の無い物が、太刀の様式上は正しいということになります。
…で、美術刀用鍔の大半は小柄笄孔がありまして、そこを前提にすると鍔の選択肢は非常〜に狭いです。
まぁ、そんな事は気にしないというのであれば、好きな鍔を選択するのもアリですかね。
(`ー´)<過去に当店商品でもやってるし、格好よければいいという見方もある。


また、太刀の特徴的な部分が鞘の各種糸巻。
柄巻と同じ形に巻かれている(画像では赤糸)のが渡り巻、
その渡り巻の中央に下緒のように結んである(画像では黒糸)のが太刀緒です。


柄巻と渡り巻、そして太刀緒については、
上画像のようにそれぞれ別の色で巻くことも可能です。
尤も、特にこだわりがない限り、柄巻と渡り巻は同じ色にしておいた方が纏まりは良くなりますかね。

あと刀身は大刀サイズの範疇では大体なんでも使えます。
鞘塗も大体何でも出来ますね。
それから細かいところですが、渡り巻の下地、菱形の中は鞘塗の色がそのまま出ることになりますので、
完成図をイメージするときにはその点も考えた方が宜しいかと。
(`ー´)<更に美術刀の太刀については目貫とか柏葉とかで言いたいことがないでもないんだが…。
(;´ω`)<まぁ、コストダウンのためもありますので、その辺が気になっても勘弁してね。

太刀にした時点で金具がほぼ固定になったりしますので選択肢は狭まりますが、
これはこれでカッコイイので試して見たい方は是非。